Day.4&Day.5 |
06/05-06:55-COM(0)-TB(0)-記憶 |
2回連続チキレ敗北でございました。
引用元はかの有名なシェイクスピアソネット第18番。
Shall I compare thee to a summer's day?
Thou art more lovely and more temperate:
Rough winds do shake the darling buds of May,
And summer's lease hath all too short a date:
Sometime too hot the eye of heaven shines,
And often is his gold complexion dimmed,
And every fair from fair sometime declines,
By chance, or nature's changing course untrimmed:
But thy eternal summer shall not fade,
Nor lose possession of that fair thou ow'st,
Nor shall death brag thou wand'rest in his shade,
When in eternal lines to time thou grow'st,
So long as men can breathe or eyes can see,
So long lives this, and this gives life to thee
「何を読んでいらっしゃるの?」
いつも彼女はそう静かに尋ねる。
そうして、彼がパタンと読んでいた本を閉じて
ゆっくりと頭を自分の方にめぐらせるのを待つのだ。
「『君を夏の日に喩えようか……』」
その声はいつものように柔らかく、清潔で、洗いざらしのリネンに似ていると喩えられる声音だった。
何も変わらず、死の足音もしない。
そうして彼女はその滴るような葡萄酒色の瞳の中に自分を探す。
「『いや、君の方がずっと美しく、おだやかだ。
荒々しい風は五月のいじらしい蕾をいじめるし、
なりよりも夏はあまりにあっけなく去っていく』」
「続けて……?」
予定調和のやりとりだとしても
彼女はその時間が何よりも好きだった。
時にその瞳が自分ではない誰かを見ているような気がしていても
「『時に天なる瞳はあまりに暑く輝き、
かと思うとその黄金の顔はしばしば曇る……』」
静かで、それでいて手入れの行き届いた秘密の庭園の
黄金色の午後。
***
「――ひとが息をし、目がものを見るかぎり、
この詩は生き、君にいのちを与えつづける」
彼は再び本をパタンと閉じた。
焚き火。咽るような花の香り。瞼にさえ落ちる木々の影。
脳裏を掠めるのは夜啼鳥よりも美しく 薔薇色の空よりも華やかな面影。
この世界に存在しているのかもわからない、未だ姿形もわからない「自分だけの姫君」。
心臓を失い 血潮も無く
記憶は朧で最早名前も消えた
神話から口伝へ 口伝から物語へ
その中を彷徨いながら自分が仕え、崇拝し、命を落とすべき姫君を探している
――それだけの為に、俺はこの世に戻ってきた
遺跡の傍ら、月はいつでも静かに
半身を失った恋人を照らし続ける。
引用元はかの有名なシェイクスピアソネット第18番。
Shall I compare thee to a summer's day?
Thou art more lovely and more temperate:
Rough winds do shake the darling buds of May,
And summer's lease hath all too short a date:
Sometime too hot the eye of heaven shines,
And often is his gold complexion dimmed,
And every fair from fair sometime declines,
By chance, or nature's changing course untrimmed:
But thy eternal summer shall not fade,
Nor lose possession of that fair thou ow'st,
Nor shall death brag thou wand'rest in his shade,
When in eternal lines to time thou grow'st,
So long as men can breathe or eyes can see,
So long lives this, and this gives life to thee
「何を読んでいらっしゃるの?」
いつも彼女はそう静かに尋ねる。
そうして、彼がパタンと読んでいた本を閉じて
ゆっくりと頭を自分の方にめぐらせるのを待つのだ。
「『君を夏の日に喩えようか……』」
その声はいつものように柔らかく、清潔で、洗いざらしのリネンに似ていると喩えられる声音だった。
何も変わらず、死の足音もしない。
そうして彼女はその滴るような葡萄酒色の瞳の中に自分を探す。
「『いや、君の方がずっと美しく、おだやかだ。
荒々しい風は五月のいじらしい蕾をいじめるし、
なりよりも夏はあまりにあっけなく去っていく』」
「続けて……?」
予定調和のやりとりだとしても
彼女はその時間が何よりも好きだった。
時にその瞳が自分ではない誰かを見ているような気がしていても
「『時に天なる瞳はあまりに暑く輝き、
かと思うとその黄金の顔はしばしば曇る……』」
静かで、それでいて手入れの行き届いた秘密の庭園の
黄金色の午後。
***
「――ひとが息をし、目がものを見るかぎり、
この詩は生き、君にいのちを与えつづける」
彼は再び本をパタンと閉じた。
焚き火。咽るような花の香り。瞼にさえ落ちる木々の影。
脳裏を掠めるのは夜啼鳥よりも美しく 薔薇色の空よりも華やかな面影。
この世界に存在しているのかもわからない、未だ姿形もわからない「自分だけの姫君」。
心臓を失い 血潮も無く
記憶は朧で最早名前も消えた
神話から口伝へ 口伝から物語へ
その中を彷徨いながら自分が仕え、崇拝し、命を落とすべき姫君を探している
――それだけの為に、俺はこの世に戻ってきた
遺跡の傍ら、月はいつでも静かに
半身を失った恋人を照らし続ける。
スポンサーサイト
comment
comment post
track back
http://tienhua.blog104.fc2.com/tb.php/6-5761b289